2012年04月17日

会報第95号より

よりそう影

日の光

 おてんと様のお使いが
 揃(そろ)って空をたちました。
 みちで出逢ったみなみ風、
 「何しに、どこへ」とききました。

 一人は答えていいました。
 「この〈明るさ〉を地に撒くの、
 みんながお仕事できるよう。」

 ひとりはさもさも嬉しそう。
 「私はお花を咲かせるの、
 世界をたのしくするために。」

 一人はやさしく、おとなしく、
 「私は清いたましいの、
 のぼる反(そ)り橋かけるのよ。」

 残った一人はさみしそう。
 「私は〈影〉をつくるため、
 やっぱり一しょにまいります」

         金子みすゞ

 四人のお日様のお使いです。
 最初の三人は、お日様のお使いらしく、「明るさ」「楽しさ」「清らかさ」を与えるために、と元気です。
 だけども最後の一人は、「影」をつくるのが役割です。
 なんとも寂しく、むなしく、やりきれません。
 けれど光には影がつきものなのです。
 嫌でも一緒についていかねばならないのです。
 だれもが幸せを願うけれど、どうしても思い通りにならないことも起こるのです。
 仏教では「人生は苦なり」と示します。
 人生には逃れることの出来ない苦しみがあることを、金子みすゞさんはまっすぐに見つめるのです。(法輪寺住職)
posted by ryoho at 12:31| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月12日

梅鶯仏教壮年会報 第28号・第33号から

道    
道はじぶんで つくる
道は自分で ひらく
人のつくったものは
じぶんの道には ならない


◇◆◇

私がこの世に生れてき
たのは私でなければ
できない仕事が
何か一つこの世にある
からなのだ
それが社会的に高いか
低いか そんなことは
問題ではない
その仕事が何である
かを見つけ そのため
に精一杯の魂を
打ち込んでゆく

   相田みつを
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2006年03月29日

梅鶯仏教壮年会報 第32号から

「いま」という
「いま」なる時は
なかりけり
「ま」の時来れば
「い」の時は去る

津本陽の小説の中で見つけた古歌です。一瞬々々の時を大切に生きなければと改めて感じます。
posted by ryoho at 12:19| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月06日

梅鶯仏教壮年会報 第31号から

○夕顔

お空の星が
夕顔に、
さびしかないの、と
ききました。

お乳いろの
夕顔は、
さびしかないわ、と
いひました。

お空の星は
それつきり、
すましてキラキラ
ひかります。

さびしくなった
夕顔は、
だんだん下を
むきました。
    金子みすゞ
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2006年02月13日

梅鶯仏教壮年会報 第29号から

朝と晩とに忘れずに
私もお礼をあげるのよ。
そしてそのとき思ふのよ
いちんち忘れてゐたことを。

忘れてゐても、仏さま
いつもみてゐてくださるの。
だから、私はさういふの
「ありがと、ありがと仏さま。」

金子みすゞ
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梅鶯仏教壮年会報 第27号から

○原点       相田みつを

アノネ
人間にとって
一番大事な ものはなにか?
そこを 原点として
考えてゆけば
あとは自然にわかって くるよ

posted by ryoho at 09:46| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第26号から

○蜂と神さま     金子みすゞ

蜂はお花のなかに、お花はお庭のなかに
お庭は土塀のなかに、土塀は町のなかに
町は日本のなかに、日本は世界のなかに
世界は神さまのなかに。

さうして、さうして、神さまは、
小ちやな蜂のなかに。

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梅鶯仏教壮年会報 第23号から

方一尺の天地
水馬(みずすまし)しきりに
円を描ける
なんじ いずこより来たり
いずこへ旅せんとするや?
ヘイ! 忙しおましてナ!


   ◇◆◇

池の中のわずか三十センチメートル四方(方一尺)の範囲、その範囲が天地の全てのごとく、みずすましがしきりに円を描いて動き回っている。おもわず声を掛けてみた。「おまえは、どこから来て どこへ行くのか ? 何のために生まれ、生き、死んでいくのか?」と、そこでみずすましは、さも毅然として答えるのである。
「ヘイ! 忙しおましてナ!」・・・と。

   ◇◆◇

この詩は、詩人村上志染の「水馬」という題の作品で、ご門主様が著書『朝には紅顔ありて』の中で引用され、「印象深い詩」と述べられているとおり、自分自身を言い当てられているようで、おもわず苦笑いします。
忙しい忙しいとかけずり回っている。
毎日も、仏さまから見れば、「しきりに円を描いている私」なのでしょうね。
「ヘイ! 忙しおましてナ!」が関西弁だけに、よけいにはかなさを感じます。
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なやみは
つきねんだ
なあ
生きているん
だもの

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セトモノと
セトモノと
ぶつかりっこすると
すぐこわれちゃう
どっちか
やわらければ
だいじょうぶ
やわらかいこころを
もちましょう
そういうわたしは
いつもセトモノ
相田みつを

posted by ryoho at 08:30| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第24号から


がまんをするんだよ
がまんをするんだよ
くやしいだろうがね
そこをがまんを
するんだよ
そうすれば
人のかなしみや
くるしみが
よくわかって
くるから
相田みつを
posted by ryoho at 08:27| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月10日

梅鶯仏教壮年会報 第22号から

お花だったら
もしも私がお花なら、とてもいい子になれるだろ。
ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。
だけど、誰かがやってきて、
いやな花だといったなら、
すぐに怒ってしぼむだろ。
もしもお花になったって、
やっぱしいい子になれまいな、
お花のようにはなれまいな。

金子みすゞ

   ◇◆◇

阿弥陀さまは、いい子であることを救いの条件にしているのではなく、罪をつくってやまないこの私のままでを目当てとして下さっているのです。
「いい子」になれないと嘆くみすゞさんには、「そんな子が大切なんだよ」と語りかける阿弥陀さまの声が聞こえていたのでしょう。
posted by ryoho at 14:27| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第20号から

蓮と鶏
泥のなかから 蓮が咲く。
それをするのは 蓮じゃない。
卵のなかから 鶏(とり)が出る
それをするのは 鶏じゃない。
それに私は 気がついた。
それも私の せいじゃない。
     金子みすゞ

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「人の力のおよばない所で、あらゆるものがいのちを生み出し営んでいる。それに気づくのもみんな仏様からんのはたらきかけでした」
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梅鶯仏教壮年会報 第18号から

あらたまの年のはじめは祝うとも
南無阿弥陀仏のこころわするな
(蓮如上人)

春は称名に入って口初めて開く
声は高し 無量寿如来
(仙崖和尚)
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梅鶯仏教壮年会報 第19号から

一日いちにちを大切に
「再来年の何月何日に講演を・・・」
などといって下さる方が
時々 あるものだから
「もしも いのちを
いただいておりましたら・・・」と
五年前 おそるおそる
「五年連用日記」を買って
お約束を記入させてもらってきた
その五年を とうとう
終わらせていただくことができた
「ようこそ、ようこそ!」と
謝せずにはおれない
ところが 過日 書店で
新しい「五年連用日記」を見つけた
手を出そうとして 思わず引っ込めた
ご恩に馴れ つけあがり
まだこれから 五年を と考える
思いあがった 私が はずかしかった
そんな私に また こうして
全人類が まだ 誰も
生きさせてもらったことのない
まっさらな年を
恵んでいただく
しかも 妻も いっしょに
もったいない
粗末に生きては バチがあたる
どうかよろしく
お導きをお願いいたします
       東井義雄


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この文章は、教育者として多くの方から尊敬され親しまれた、念仏者東井義雄さんの、昭和六十年に出された年賀状です。東井先生の、一日一日を大切にする心が響いてきます。
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梅鶯仏教壮年会報 第17号から

一人いてしも 喜びなば
二人と思え 二人にして
喜ぶおりは 三人なるぞ
その一人こそ 親鸞なれ
     報恩講の歌より

まよいの目には見えませんが、仏さまは常に私を照らします。
親鸞様ともいつも一緒です。

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報恩講
「お番」の晩は雪のころ、
雪はなくても暗のころ。 くらい夜みちを
お寺につけば、
とても大きな蝋燭と、
とても大きな火鉢で、
明るい、明るい、
あたたかい。
大人はしっとりお話で、
子供は騒いじゃ叱られる。
だけど、明るいにぎやかで
友だちゃみんなよっていて
なにかしないじゃ、
いられない。
更けてお家へかえっても、
なにかうれしい、
ねられない。
「お番」の晩は夜なかでも
からころ足駄の音がする。
     金子みすゞ

「お番」とは報恩講の大逮夜のことです。金込みすゞさんの子供の頃の報恩講の思い出のうたですが、時と場所を超えて、なにか懐かしく感じませんか?
posted by ryoho at 12:36| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

梅鶯仏教壮年会報 第6号から

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そよかぜわたる あさのまど
はたらく手のひら あわせつつ
なもあみだぶつ となえれば
しんらんさまは にこやかに
わたしのとなりにいらっしゃる

きらめく夜空 星のかげ
あらしに消えてもかくれても
なもあみだぶつ となえれば
しんらんさまは ともしびを
わたしのゆくてに かざされる

この世の旅の あけくれに
さびしいいのちを なげくとき
なもあみだぶつ となえれば
しんらんさまは よりそって
わたしの手をとり あゆまれる

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梅鶯仏教壮年会報 第16号から

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朝々に仏前に座し読経する
静けきこころ一日もたず

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ほろほろと鳴く
山鳥の声きけば
父かとぞ思う
母かとぞ思う
行基菩薩

posted by ryoho at 08:36| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第14号から

星とたんぽぽ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜のくるまで沈んでる、
昼のお星は眼に見えぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽんの、
瓦のすきに、だアまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
金子みすゞ

見えるもの、数えられるものだけを頼りにしがちな私達ですが、「見えないものもある」、「そこに大切なものがある」という金子みすゞさんの叫びが、大いなる自省をもって心に響きます。
posted by ryoho at 08:29| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

梅鶯仏教壮年会報 第13号から

水の上に石を置けば、その石は、
かならず水底に沈むであろうが、
その石を船に乗せれば、
石はけっして沈まない。
罪深く、咎(とが)重い自分は、
このままなれば必ず地獄の苦海に
沈まねばならないであろうにー、
有難いかな、よろこばしいかな、
阿弥陀如来の
救いの大船に乗せられて、
沈むままに沈まずに、
かならず浄土に
往生させていただくのである。
     寺川幽響先生
posted by ryoho at 14:07| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第12号から

大漁
朝焼小焼だ 大漁だ
大羽鰯の 大漁だ
浜は祭りの ようだけど
海のなかでは 何万の
鰯のとむらい するだろう。
   金子みすゞ


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最近では、人前で手を合わすことが、「なぜか、照れ恥ずかしい」という考えの人が多いそうです。「手を合わす恥ずかしさよりも、手を合わすことのできない自分の恥ずかしさに、早く気が付いて欲しい」という金言が心に響きます。
posted by ryoho at 14:00| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

梅鶯仏教壮年会報 第10号から

土と草
母さん知らぬ 草の子を、
なん千万の 草の子を、
土はひとりで 育てます
草があおあお 茂ったら、
土はかくれて しまうのに。
          金子みすゞ

posted by ryoho at 09:05| こころにひびく詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする