2008年09月18日

梅鶯仏教壮年会報 第59号より

 去る5月27日に、龍谷大学で、元プロ野球選手衣笠祥雄氏の講演会があり、その講演会の前に衣笠氏と昼食を取りながら談話する機会を頂きました。
 ご承知の通り衣笠氏は、元広島東洋カープの主力選手で、1987年に引退するまで2215試合連続出場を果たし、同年、プロ野球界からは王貞治氏に次いで二人目となる国民栄誉賞を受賞されました。
 現役時代は、最優秀選手賞や打点王など数々の賞を受賞する名選手でありましたが、同時に死球を受け、重傷を負いながらも、それをものともせず翌日の試合には出場し、多くのファンに感動を呼び起こさせ、体の頑健さのみならず、見る者の心を揺さぶる不屈の精神力から、人々に「鉄人」と呼ばれるようになりました。
 その衣笠氏の話はさすがに含蓄があり、人間的魅力のあふれるものでした。
 そのお話の一部をご紹介します。

○少年「衣笠祥雄」
 衣笠氏は幼い頃から野球少年だと思いきや、まったく違って、小学生の最初の頃は水泳選手にあこがれ、次はスケートに魅せられ、最後は町の道場で柔道に明け暮れる毎日だったそうです。
 そして野球を始めたのは中学生からで、それも中学校に柔道部がなかったからだそうです。
 けれど、水泳で身につけた基礎体力、スケートで得たバランス感覚、そしてなによりも柔道で学んだ精神力と礼儀作法が、その後の野球人生の大きな基礎になったそうで、小学生の頃にやりたいことをやらせてくれた両親に感謝している、とのことでし 衣笠氏が連続出場記録を達成した時のインタビューで「この体を授けてくれた両親にまずは感謝したいです」という言葉が、今でも印象に残っていますが、やはりご両親が衣笠氏の最大の理解者だったのです。

○今を大切に
 とかく親というものは、子供の気持ちよりも、親の都合や感覚でものを言いがちです。
 また反対に、昨今では子供に無関心な親も多いと聞きます。
 そのどちらも、子供自身が行き詰まり、時として不幸な結果をもたらします。
 親は子供の最大の理解者であり、子供の目線で接することが、なによりも大事なのでしょう。
 また、ついつい子供の将来に期待を掛けすぎてしまうのも親です。
 「一期一会」と言う言葉があります。これは、一つ一つの瞬間は再び繰り返されることがないため、その時その時を大切にすべきであると説く言葉です。
 衣笠氏が子供の頃に水泳やスケートや柔道に取り組んだのは、けっして野球選手になるためではなかったのですが、結果として一生懸命に取り組んだことが将来に生かされたのです。
 子供の将来を考えることも大事ですが、やはり子供が生きている『今』を大切にしてあげることが大事なのでしょう。

○人に支えられた人生
 あれだけの記録を達成した衣笠氏にも、多くの困難があったそうですが、どんな困難に対しても、それを解決するための方法論を考え、それにむかって努力を積み重ねてきたそうです。
 けれど最後に仰ったことは、その努力が出来たことも、そして問題を解決できたことも、考えてみれば多くの皆様に支えられてきたお陰であります、とのことでした。
 衣笠氏の人生観や、一言一言の言葉に、なにか仏教的な考え方に通じるものを感じたのは、衣笠氏の出身高校が、龍谷大学と同じ西本願寺系の平安高校だからなのかなと思いました。了
posted by ryoho at 17:01| 住職例会法話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする